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Episode:Extra edition -Special shoes Made in Japan-

ファッションに止まらない、
「スタイル」を持つ靴作りの現場。



「AMBIVALENT ATTITUDE」―両性が持つ対比の魅力をテーマに、色のコントラストを楽しんだり、ブリティシュでメンズライクなスタイリングにアクセサリーやシューズで女性らしさを利かせたり、はたまた逆にフレアスカートにはメンズシューズを合わせたり、とそのアンバランスさを楽しみながら作る今シーズンのスタイリングに欠かせない「メンズシューズ」。 〈23区〉の本格的なメンズシューズを作っていただいている工場の方にお話を伺ってきました。


 

 

■メイドインジャパンの丁寧なモノづくり

 

日本の屈指の皮革産業の地、「浅草」で国内自社生産にこだわり続ける「サントリイシューズ」様は、国内生産の革から、裁断、縫製、成形に至るすべての工程を国内で行い、その高い品質を守り続けています。
こちらの工場に、「ローファー」「レースアップシューズ」の製作をお願いしています。

 

 

―<23区>がこだわった「メンズライク」ではない本格派

女性のスタイリングにも多く取り入れられるようになったメンズシューズ。
紳士靴の凛とした佇まいを<23区>のスタイリングに取り入れるため、理想の靴作りが出来るパートナーが必要でした。
今回、お世話になっている「サントリイシューズ」様は、メンズシューズを長年作ってこられた実績のある工場。<23区>のディレクターが表参道の直営店で出会い、その靴の美しさに魅了されたことがきっかけでお取組みが始まりました。

 

 

―女性用の靴を作る際、メンズシューズと違い気遣うことはありますか?

本格派とはいえ、男性用の靴を単純にグレーディング(※サイズ修正)すれば理想の靴になるかといえば、決して単純ではありません。 その重厚感のある印象はそのまま残すため、使用する部材はメンズの靴と同じものを使用します。ただ、<23区>のデザイナーの希望もあり、女性の繊細な足に合わせて、靴の内側への配慮を施し、なるべくシームレス(※縫い目の少ない)で、肌触りの柔らかい素材を使用することで、ストレスの少ない仕様にしています。

 

 

―革を立体的に作り上げていく「縫製」

使い込まれた足踏みミシンの前に多くの裁断された革がある工房の中心部。 ここは平面的に裁断された靴のパーツを組み合わせて、立体にしていく縫製作業を行う場所。靴を作る最初の場所です。様々なパーツを組み合わせて作られるため、革が重なる部分の微細な厚みを調整をする「漉き(すき)」の作業は非常に感覚が必要な作業の為、ここを担当される職人の方は長年靴を作ってこられたベテランが担当されます。軽快にステッチをかけていくミシンの速さがその職人の勘の正確さを感じさせます。

 

 

―靴の工程で最も重要な「つり込み」

立体的に縫製されたアッパーを、靴の形に成形していく作業です。〈23区〉の理想を追求し、何度もやり取りを重ね出来上がった木型に革の形を形成していきますが、このつり込み作業の良し悪しは靴の見栄えはもちろん、履き心地にも影響します。作業は機械を使いながら、行いますが職人の手感覚がその仕上がりを左右していきます。女性らしいしなやかさと、紳士靴ならではの強さを兼ね備えた〈23区〉オリジナルの木型に沿い形成されていきます。

 

 

―滑らかな表面を作り上げる「コテ」

先ほどのつり込み作業が終わったものがこちらの工程へ運ばれます。 平面だった革が立体になることで生まれる小じわなどがあり、アイロンのような感覚でコテをあて、熱風を当てながら微修正を行います。その微細な作業の為、革を通して熱が伝わるほどにぴったりと職人の手を添わせていきます。しなやかに伸びた革の表面には、先ほどよりも美しい光沢が生まれました。

 

 

―艶を生み、凛とした佇まいを完成される「バフ」

最後の工程、磨きをかける「バフ」と言われる作業。高速回転のバフで、様々な仕上げを行います。素材にあったクリームを塗って色を整え、手の感覚とバフを駆使して色の濃淡を出していきます。数々の工程を重ねた靴は見違えるような艶になり、黒の色に深みが出てきます。アンティークな風合いを出すには、職人の技術とセンスが重要。
<23区>のシューズはノーズに強くかかった艶がポイントですが、ここで生み出されていきます。この艶が、靴に存在感を与え思わず手に取ってみたくなる。その本質的な美しさをお客様は直感で感じられます。感覚的に語り掛ける美しさへの拘りは、数あるメーカーの中でも仕上げに拘り、十分な時間をかけているからこそさらなる付加価値が生まれると言います。

 

 

―こうやって作られた靴と長く付き合うために

ここまで丁寧に作られた工程を見ると、その取扱いの難しさに少々気遅れががしてしまうもの。
しかし、わずかな二つのポイントを押さえれば格段に靴が長持ちすると教えていただきました。
まずは、「ブラシでホコリを落とす」こと。
毎日履いた後、豚や馬の毛でできた靴用のブラシでホコリを落とし、ソールとアッパーの隙間に入り込んだ汚れを日々落とすことで靴の状態が良くなるそう。
そして、「新聞紙を詰めておく」こと。
シューキーパーなど、わざわざ買わなくても新聞紙を詰めておくことで、靴の大敵の湿気を吸収してくれ、さらに新聞紙のインクには消臭効果もあるそうで通はあえて新聞紙を使うよう。 もし、急な雨に降られたときも新聞紙を詰めて日陰で乾かせばまずは安心。これは、ハイヒールなど女性靴にも共通しているそう。
こういった作業に慣れたら、クリームなどの専門的なグッズにもぜひトライしてみてほしいけれど、どうしても手におえない場合は靴のリペア専門店で磨きをお願いするのも一手。 不器用でも、愛情をかけて自分自身のスタンダードアイテムになっていくよう育ててもらえれば良いのではないでしょうか。

 

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