Newans

Vol.10

谷尻直子

料理家 / HITOTEMA主宰

ちゃんと迷うこと。
それは、学ぶことだから。

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働き方はもちろん、ライフスタイルにも
変化が求められているいま。
これからの時代を生きていく上で
必要な新しい答え“New Answer”を様々な分野の
第一線で活躍する女性12名に問う
#Newansのインタビュー連載。

今回は、レストランHITOTEMAを
主宰する料理家であり、 建築家の妻であり、
一児の母でもある谷尻直子さん。
料理を軸に和漢薬膳や植物療法、
さらにはヨガ、金継ぎなど、
人生をよりよく生きるために学び、
それを伝える彼女の “New Answer” とは……

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Profile

谷尻直子さん @naokotanijiri_hasegawa

職業料理家、HITOTEMA主宰

ファッションスタイリストを経て料理家に転身。「現代版お袋料理」をコンセプトにコース仕立てで提供するレストラン「HITOTEMA」を代々木上原に構える。「サロン」と称して食や器を中心とした「生活を豊かにするためのクラス」を主宰。著書『HITOTEMAのひとてま』(主婦の友社刊)はレシピのシンプルさと本の美しさが話題に。代官山蔦屋書店では2019年食部門全体での販売部数一位を獲得した。和漢薬膳師(薬膳マイスター)、アロマテラピー一級、発酵食品スペシャリスト、野菜ソムリエなど多数の資格を取得。植物療法にも造詣が深い。

01

仕事着の選び方

仕事着の選び方

――今回、着ていただいた#Newansのシャツはいかがでしたか? 「とても着心地がいいですね。合わせたニットベストは着やすいし、さりげなく内ポケットがついているところなど、仕事人としてはかなりうれしいポイントだなと思いました。可愛いのはもちろんですが、機能的であることはデザインの本質として重要ですよね」

――普段、お仕事の時はどんなスタイルが多いのでしょう? 「ちゃんとして見えるっていうことをとても意識しているので、シャツを着ることも多いです。現代版お袋料理というのがコンセプトなので、本当に割烹着とか着てしまったら、あまりにもそのまんますぎるというか、自分の中にちょっとした天邪鬼があって(笑)。普段、シャツでお店に立つときは上にエプロンをして、袖まくりする感じ。アクセサリーとしてつけるのはピアスだけで、指輪やネイルはつけません。#Newansのシャツはリアルに仕事着として使えるなと思いました」

――このシャツをベースにご自身でスタイリングするとしたら、どんなアイテムを合わせますか? 「ハイウエストのパンツとかも合いそうですよね。シャツをジーンズにインして、吉田栄作スタイルもよさそう(笑)。足元は赤いパンプスでもいいし、フラットのサンダルでも合いますよね。基本的に歩くことが多いし、自転車で毎日3~5キロは走っているので、普段はフラットシューズが多いんです。お店にいるときは16時間立ちっぱなしなことも多いですしね」

――じゅ、16時間! 立っているだけでも大変なその労力を考えると、仕事着における着心地のよさというのは重要ですね。 「そう、着心地のよさは大前提。そして仕事柄、清潔感というのも欠かせないので、白シャツというのは本当に使いやすいアイテムなんです。#Newansが白シャツをキーアイテムとして掲げているのは素敵だなと思って。いつから仕掛けていらしたんですか?」

02

豊かさの本質

豊かさの本質

――今年の初めぐらいからなのですが、コロナウィルスで世界全体がこういう状況になり、ブランドコンセプトと社会の動きがフィットし過ぎて驚いているというのが正直なところなんです。 「そういうことってありますよね。きっと先読みでされてたってことなんでしょうね。#Newansというブランドがいまの時代に背中を押されてるってことかもしれませんね。ブランドコンセプトには、私自身も共感する部分が多くあります」

――たとえば、それはどんな部分でしょう? 「私がキャリアをスタートした20代前半は、みんながいいと思うものをいいと言わなくてはいけないような風潮があった時代で、みんなが憧れるものっていうのが割と一方向を向いていたんですよね。豊かさって、ものをたくさん買えることでしたし。でも、その時代を経て、35歳ぐらいからだんだん、豊かさってものを買えることじゃないっていうことに、私自身も気がつきはじめた。時代としても一つの大きな変化が起こった頃でもあったと思うんです。たとえば、正解は一つじゃないっていうステートメントは、つまり自分の心が正解を決めるということかなと翻訳していて、そこには共感を覚えます」

03

サスティナブルな自己表現

サスティナブルな自己表現

――直子さん自身、サスティナブルな取り組みにも挑戦されているとお聞きしました。 「2003年から2010年まで、私自身ヴィーガンの生活だったんですね。それをいま自分の中でリバイバルさせて、ヴィーガンのお弁当をお出しするということをやっています。それと並行して、オンラインクッキングサロンと称してzoomなどでレシピをお伝えしています。いままで嫌厭していた方にも自宅で実践してもらえたら嬉しいな、と。Co2排出量削減にも大いに関係しているんですよね、ヴィーガン食。食肉の生産の効率重視で森林を破壊し続けているのは畜産業だそうです。実際、過去40年間で、南米の熱帯雨林の40%が輸出用の牛肉を生産するために破壊されたという記述を読んだり、この3~4月のコロナウィルスによる自粛期間中いろいろと調べて、そして、ああ、やっぱりやろうかなって」

――知ること、感じること、考えること。そして、できることから、個人的にもはじめていきたいです。 「ファッションにおいては、たくさん持っていることが豊かさとイコールではないと思いつつも、やっぱりファッションって人と会うことをより楽しくさせてくれたり、自分が自分でいられるために大切なものだとも思うんですよね。裸では外に出られないので、何を着るかは自分のチョイスじゃないですか。だから、なるべくその時の自分に近いものになれたらいいなと思って選んでいます。昔から古着好きということもありますが、サスティナビリティという点においても古着っていいですよね。捨てるよりは、古着に回したほうがいいしとか、買うなら古着のほうがいいかなとか。それに、古着って白シャツとの相性がすごくいいですよね」

――そうなんですよね。そして、歴史を超えて残っているものには理由があるなと。#Newansのシャツの中にも古着から着想を得たデザインがいくつかあります。 「いいですね。ヴィンテージもそうですが、やっぱり服を選ぶには、自分の中で明確な理由がある。ファッションって、お洋服って、結局印ろうと一緒で、どんな印ろうをつけるかってことだと思うんです。たとえば、10代20代ってクラブとかにも行くようになりますよね。そんなとき、やっぱり自信を持てる服を着ていると待遇がよかったり(笑)。パスポートを持っているか持っていないかと一緒のように感じたんです。スタイルのある装いをしているかどうか、ということが。それと同時に、自分の属性を表現するものでもある。ファッションは、自分が共に過ごしたいと思う人や仲間に合う印ろうじゃなくてはいけなくて」

――お会いしてもそうですが、お話ししていても、直子さんはファッションが本当にお好きなんだなって感じます。 「私は、昔から男性っぽいものに心惹かれて、10代の時はビームスで販売員をやっていたのですが、メンズフロアだったんです。メンズフロアで働きたくて、メンズブランドが好きで。お洋服の選び方って、昔は男性と女性でけっこう明確に違ったんですよ。女性は割と、自分が可愛く見えるようなものを選び、男性はその背景を選ぶの。ブランドのストーリーがロックだったら、ヒップホップの人は着ちゃいけないし、ヒップホップだったらパンクの人は着ちゃいけないっていう風に。でも、女性はそうじゃなくて、もうちょっとフリルだったり、シェイプだったりを優先させて、どちらかというと表面的な部分を大事にする。そういうこともあって、メンズの服の選び方がすごく好きでしたね。いまも同じ感覚でメンズアイテムが好きで、時計のベルトにはナトベルトをチョイスしたり、カメラのストラップにはクライミングロープから作られたもの、バングルは今日は七宝焼きですが、普段スタッズベルトとの重ねづけを好んでいたりします」

――そんな直子さんの視点から、これからの#Newansに期待することや、こうして欲しいなと思うことがあったら教えてください。 「白シャツって、モニターのごとくなんでも映し出されるものだと思うんですよね。だから、たとえばその白いシャツの上に映画でいうハリーポッターの写真をプリントするのか、ビックフィッシュなのか、はたまたチャーリーとチョコレート工場なのかって、その人のマインドや思いが白シャツの上に投影されるようなアイテムだと思うんです。その人自身が出てしまうというか。だから今後、映画や音楽だけでなく、空間や食といったカルチャーとの接点がどう行われるのか、期待しちゃいます」

04

死ぬまでに伝えたいこと

死ぬまでに伝えたいこと

――先ほど、コロナウィルスによる自粛中にサスティナブルな取り組みに関してお勉強されたお話がありましたが、直子さんの中で何か変化したことなどはありましたか? 「もっと伝えられることがあるなって、思ったかな。自分一人が生き残ってもつまらないなってことを、まずすごくリアルに感じたんですよね。死亡者がたくさん出ているニュースを見て怖かったですし、子どものためにもまだ死ねないなとも思ったんですが、それと同時に、自分だけが生き残ったところで絶対に楽しくないし辛いだろうなって思ったんです。死生観が現実に近づいてきたとき、もっと人に何か伝えてからこの世を去らないといけないんじゃないいかといった、なんていうんだろう、子育て中なのでできる範囲は限られてるんですけど、できるだけ伝えていかないといけないなってすごく強く思って。これまでワークショップは、2か月に1回ぐらいでと、ある種すごくマイペースに行っていたのですが、もっとできるなと」

――その、死ぬまでに伝えたいこととは? 「私は食が仕事なので、食のことなんですけど。昔ながらの食材。切り干し大根とか大豆とか、いりことか、昔ながらの食材って、すごいミラクルが詰まっているんですよ。そういうのをいま風にアレンジして、おばあちゃんだけが喜ぶんじゃなくて、隣にいる30代、40代の旦那さんや恋人も喜んでくれるようにアレンジできるんだよってことを伝えたいなと思って。ヴィーガンでも、いわゆる健康志向すぎて、薄味の食材だけが並んでるようなものじゃなくて、男舌でも満足できるものを私のレシピでは心がけているのでそれを伝えていけたらなって。それをたくさんの人に伝えることができたら、働き盛りの人たちもみんな、どんどん免疫が上がっていくんじゃないかなって。そんなことを思ったりして、それを伝えたいなって」

――ぜひとも伝えて欲しいし、個人的にも知りたいです。 「ぜひ。ワークショップにいらしてください。先ほど、#Newansの立ち上げ後、コロナウィルスのことで時代が急激に変わってしまって、以前から考えていたことに状況が合ってきたってお話をされていたと思うんですけど、私も今回同じような体験をしたんです。去年の11月ぐらいにスタッフの女の子が「お弁当やりたいお弁当やりたい」って話していたのですけど、お弁当なんて大変なだけだしー(笑)。って、そこまで「やるべき!」と思ってはいなかったのですけど、はじめたんです。そうした矢先にコロナで事態が一変して、6月に入る頃にははじめてよかったなと思うようになりました。お弁当の販売って、量産にかけない限り手間ばかりがかかって、効率的とは言えないのですけど、それでもお弁当をつくることで、新たな考え方を身につけて、それをワークショップに生かすという循環性を見出せたので、個人的なところでは間違ってなかったかなと」

――そんな直子さんの“New Answer” とは何でしょう? 「答えというか、常に本当の豊かさってなんなんだろうって、自問しながら生活することですかね。美味しい食べものを友人から送ってもらったら、息子は「ぼく一人で食べる!」とかいうけど(笑)、「みんなで食べたほうが美味しいでしょ」と、私は返す。それに尽きるようなところがありますよね」

05

楽しく迷う、模索する

楽しく迷う、模索する

――豊かさについて、30代で気づきがあったとお話がありましたが、その追求はまだ終わらないということですか? 「そうですね。美しさも同じように追求したいなと思っています。美しさについても35歳でなんとなく定義となるものに気づいたんですけど、美しさって人それぞれじゃないですか。たとえば黒人ミュージシャンのPVのように、お尻がポーンと出ている女性がいい女という視点もあるし、昔の日本だったら目が細くてほっぺがぷっくりしている人が美しさの象徴だったり、すごく様々なんですよね。だから、結局、明確な美しさの定義っていうものはなくて、その代わり、美しさっていうのは、その人本人の生まれながらの姿であること、本人の元の姿に戻ることそれが美しさなんじゃないか、ということにいきついたんです」

――元の姿……? 「2?3歳ぐらいの子どもってすっごく可愛いし、とっても綺麗じゃないですか。なんでこんなに可愛くて、めちゃくちゃ魅力的なんだろうと思ったら、素だからなんですよね。むかし、メイクさんに「チークはどこに入れたらいいのかな、というかそもそもチークは必要なの?」と、アドバイスを求めたことがあったんですけど、そのときメイクの彼女が「子どもを目指してみて」って教えてくれたんですよ。子どもは何もしなくても眉毛がしっかりと生えているよね、大人が描くのはそれを補うためなんだよ。子どもはいつも動き回ってるからか頬が赤らんで健康的。だから私たち大人は健康的に見せるためにチークをつけるんだよって。なるほど、それは一理あるなと思って。子どもを目指せばいいんだってそのときに思ったんですよね。なるべく元に、子どもの頃の自分の姿に戻すっていう作業の中で、どれを選ぶかっていうことなのかなって、模索しつづけています。毎日毎日」

――直子さんでさえ模索してるって、いい意味で安心できるし、なんだか勇気がもらえる気がします。 「迷うのって楽しいですよね。いろいろ調べるし、学ぼうとするし、情報交換するし、それがおばあちゃんまでつづいてもいいなと思うんです。おばあちゃん同士で、「私これから金継ぎするから一緒にやろうよ」とか、「今日は着物でも着てお茶でも立てようか」とか、そんなおばあちゃんが理想ですね」

――そういう意識を共有して、みんながそんなおばあちゃんになったら、東京の街がもっと面白くなりそうですね。 「そうでしょ? なると思う。そして、それに貢献できたら最高だなって思っています」

(ライター:堀川 静)

ロングクロスオーバーシャツ

着用アイテム

Long Crossover Shirts

ロングクロスオーバーシャツ

¥13,200 (税込) 詳細

ビッグシャツは今の気分にぴったり。襟を抜いて着たり、前を開けて羽織りにしたり、ボトムにちょっとだけインしたり、と抜け感ある着こなしが楽しめます。 程よい長さとボリューム感なので、ボトムスを選びません。ワイドパンツでもスリムパンツでも素敵に着こなせます。脇線のところにボタンがついておりカシュクールシャツとしてもお召しいただける2way仕様です。

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