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“ できる” を育て、個々の力に変えていく。

各業界の最前線で挑戦を続けるリーダーたちの「仕事観」と「ファッション哲学」に迫る連載企画。

株式会社シプード 代表取締役
舩木真由美(ふなき・まゆみ)さん

人気テレビ番組の制作現場を経て、PR会社でPRキャリアを積んだ後、大手オンラインショッピングモールでPR組織の立ち上げから広報までを担当。2014年に夫ともに株式会社シプードを設立し、企業の中の広報人材を育てるサービス「広報・PRの家庭教師」を立ち上げる。現在までに200社以上の広報・PR担当者を育成し、ニュースになるネタの探し方から記者との関係づくりまで幅広く指導。2021年より、広報専門家として不動産テックの ロードスターキャピタル株式会社の社外取締役に就任。合言葉は「企業の広報育成、泥臭く」。
業界の常識を覆した、
一歩引くリーダーシップ

「あまりの過酷さに夜間救急に3回も運ばれて(笑)。今の夫とも一緒に暮らしていたんですが、テレビ局に泊まり込みの日々が続いてほぼ会えず……。このままでは続けられないと思い、PR業界へ転身しました。転身後もハードワークではありましたが、毎晩終電では帰れるようになって。このタイミングで自分からプロポーズして結婚したんです。」

そんなパワフルな一面をのぞかせる舩木さんだが、転身したPRの世界でも、最初はプレイヤーとして最前線を突っ走っていたという。

「若い頃は自分が動いた方が早いと思っていたし、実際にその方が成果も出やすかったんです。でも、それでは会社にとっても、エンドユーザーにとってもためにならない。広報における本当の価値とは、企業の中にノウハウが蓄積され、自律的に動ける組織力が宿ること。属人的な業界だからこそ、持続可能な環境づくりが大切だと思ったんです。」

そこで舩木さんが構築したのが、企業の中で広報人材を育成し、「人が自ら動き出す仕組み」を構築するビジネスモデルだ。こうして属人性を排した仕組みを磨き上げ、現在はスタートアップから上場企業、自治体まで幅広く広報支援を行っている。現場では、広報に必要なスキルを細かく可視化し、半年ごとに成長を"成績表"のようにフィードバックする仕組みを導入。曖昧になりがちな「成果」を可視化することでメンバーの納得感を生み、一人ひとりを次の挑戦へ前向きに動かしていく。

「昔は、自分が奮闘する背中を見せれば、みんながついてくると思っていました。でも、子育ても含めて、それだけでは全然うまくいかなかったんです。リーダーとは、前を走る人ではない。その人自身も気づいていない強みを客観的な視点で見つけ出し、言語にして返していくことだと考えています。『あなたのこの強みは、30代、40代になってさらに生きてくる。だから今のうちに、この力も身につけておくと、もっと可能性が広がるよ』と、その人の未来まで見据えて言葉をかける。具体的に言葉にすることで、人は自信を持って一歩踏み出せる。リーダーとは、人が自ら歩き出せるよう背中を押す存在なんだと思っています。」
重要なプレゼンや、大勢の前に立つ講演会。そんな「ここぞという勝負の舞台」に立つ時、舩木さんが守り続けているのが、「白」のジャケットやトップスに、「パール」を合わせるという装いだ。

「初対面の方とお会いする時や勝負の日は、必ずパールを身につけます。今愛用しているものは、私の母親から譲り受け、修理しながら大切に使っているお下がりなんです。白という色には誠実さや透明性、隠し事がない姿勢を表現できるという良さがあります」
経営者としての「勝負服」を持つ一方で、日々のデスクワークや社内ミーティング、そして2人の子供を育てる母親としての日常におけるオフィスカジュアルには、リアルな「機能性と合理性」を求めている。

「子育てに追われてきた日々の中で、朝にアイロンをかける時間なんて当然ありません。だからこそ日常着を選ぶ基準は、自宅の洗濯機で気軽に洗えること、シワになりにくいこと、そして動きやすいストレッチ素材であること。そんな機能性の高い服に出会うと、つい手が伸びてしまいます」

ただ楽なだけではなく、仕事着としての「品格やおしゃれ」を担保しながら、機能性を両立させる。その一貫したロジックもまた、ビジネスを仕組み化してきた舩木さんらしい選択だ。

「土日のオフは、ジャージにジーンズ、Tシャツという完全なカジュアルスタイルです。仕事が終われば、家ですぐにオフの服に着替える。服とメイクを変えることで、頭の中のオンとオフを劇的に切り替えることができるんです」
肩書きを脱ぎ捨てて、
“私” に戻る1人旅。

いち早く社会のトレンドやニュースを察知し、組織を牽引する。そんな日々の中で、舩木さんが「リーダーの顔」をオフにし、頭と心をニュートラルに戻すために大切にしているのが、国内の「1人旅」だ。

「旅に出る時は、普段の母の顔や会社の代表といった肩書きをすべて取り払って、“私”としての状態を楽しみます。ただ景色を眺めるだけでなく、その土地で暮らす人たちの様子や、そこに流れるストーリーを探りに行くのが好きなんです」

これまでも、日本のものづくりを支援するプラットフォーム『CRAHUG(クラハグ)』で見つけた、鹿児島で小学校の廃校をリノベーションしてコスメを作っている場所を訪れたり、元同僚が事業承継し経営している、宮崎のお蕎麦屋さんを訪ねたりと、目的のある旅を重ねてきた。

「1人旅は完全なリフレッシュであると同時に、大切なインプットの場でもあります。現地で面白い取り組みや人に触れると、次の瞬間には『次はこれを仕掛けたい!』というアイデアが湧いてくる。旅の終わりには、また新しい仕事へのスイッチが入った状態でお土産を持って帰ってくる感覚です。よく考えたら、オフとオンの境界がそんなにないのかもしれません。娘からは『ママはずっとテンションが一緒だよね』なんて言われるくらいですから(笑)」
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