module_dummy_2module_dummy_3

『Green Onward』が描く循環の輪。

私たちが毎日身にまとう「服」は、役割を終えたあと、どこへ向かうのだろうか。アパレル業界が長年抱えてきた「つくって、売って終わり」という構造的な課題。これに対し、「つくった後の責任」までを一貫して引き受けるオンワードの挑戦が、『Green Onward』だ。衣料品の循環を目指す意味や現在の課題、そして見据える未来について、オンワードホールディングス コーポレートコミュニケーション室 サステナブル経営Sec.の山本卓司に話を聞いた。

〈プロフィール〉
オンワードホールディングス コーポレートコミュニケーション室 サステナブル経営Sec.
山本卓司(やまもと・たくじ)


2004年に株式会社オンワード樫山へ入社。宣伝部にてメンズブランド及びライセンスブランドの宣伝業務を担当。その後、プレスを経て2011年広報・環境部に配属。環境部門業務を担い衣料品回収事業を担当する。以降、直営リユースの立ち上げなど衣料品循環への取り組みを中心にサステナブル業務に従事。2026年より株式会社オンワードホールディングス サステナブル経営Sec.を兼任。
衣料品に携わる会社だからこそ、 その一生に責任を持ち続けたい。
──2023年に始動した『Green Onward』。各ブランドの垣根を越え、グループ全体でこのプロジェクトをスタートさせた意図から教えてください。

山本:『Green Onward』は、これまで各社や各ブランドが個別に進めてきたサステナビリティ活動を、グループとして一本の太い軸で推進し、持続可能な未来づくりに全員で向き合っていくためにスタートしました。ファッションは人々の生活や価値観に寄り添い、日常を豊かにする産業であると同時に、未来への責任も伴います。次の世代により良い社会と地球環境を引き継ぐために、今の私たちに何ができるのか。それを問い続け、実行していく決意を形にしたものが、このプロジェクトです。


実は『Green Onward』の原点は、今から15年以上前の2009年にスタートした衣料品回収システム「オンワード・グリーン・キャンペーン」にあります。当時はまだ「サステナビリティ」という概念すらそこまで浸透していませんでしたが、まずは自分たちにできる一歩からといった思いで始めました。



──そうした中で、社会や社内の意識はどのように変わっていったのでしょうか。

山本:一番の契機になったのは、2011年の東日本大震災です。社会全体で事業の継続性や企業の社会的責任を改めて見つめ直す動きが大きく広がったと感じています。特に私たちが続けてきた衣料品回収活動では、お客様から「環境や社会の役に立つ、意味のある取り組みだ」とダイレクトに評価していただく機会が目に見えて増えました。また、その変化は社内にも波及しています。かつては一部の部門が担当していた活動でしたが、今では部門の壁を超えた協力体制が自然と生まれ、サステナビリティを一人ひとりが「自分ごと」として捉える雰囲気に変わってきたと実感しています。
──服を売る会社でありながら、自ら進んで「回収」を呼びかけることに、ある種のビジネス的な矛盾や難しさを感じることはありませんでしたか?

山本:服を売る会社でありながら回収に取り組むことは、決して矛盾ではなく、私たちの「本質的な責任」だと考えています。アパレル企業の事業は新しい服をつくり、お客様にお届けすることですが、服には生まれた瞬間から役割を終えるときまでのストーリーがあります。「売って終わり」にするのではなく、その先にどう向き合うかまでを含めて、本当の意味でのものづくりなのだと考えています。


──長く愛される衣料品をつくり、最後まで責任を持つ姿勢こそが、持続可能性を見据えたうえでの選択なのですね。

山本:環境負荷の問題は、一企業の努力だけでは決して解決できない大きなテーマです。その中で、私たちがアパレル企業としてできることの一つが、回収やリサイクル、リユースへの取り組みです。これはファッションの持つ価値をさらに高め、持続可能な未来へとつなげていくために不可欠なステップだと考えています。私たちはこれからも「つくる責任」と「つくった後の責任」の両方を大切にしていきたいと思っています。

次の世代に引き継ぐために。

循環を生み出す9つのアプローチ。

──現在、『Green Onward』では、どういった取り組みを進めているのでしょうか?

山本:次の世代に持続可能な地球を引き継ぐため、私たちはさまざまなアプローチを展開しています。衣料品の循環から物流の効率化まで多岐にわたるのですが、具体的にはこの9つの取り組みを行っています。

『Green Onward』の9つのアプローチ

①オンワード・グリーン・キャンペーン

2009年から続く衣料品回収システム。ご愛用後の自社グループの衣料品を店頭でお引き取りし、可能な限りリサイクル・リユースすることで限りある資源を循環させる。2023年からは、オンラインでの回収もスタート。2030年度は、200万点の衣料品回収を目指す。

詳細はこちら>>>https://www.onward.co.jp/green_campaign/information/


②オンワード・リユースパーク

回収した衣料品の中から厳選し、厳しい自社検品を経てクリーニングした状態の良いものを、チャリティー価格で提供。吉祥寺の直営店やECサイトで展開している。

詳細はこちら>>>https://www.onward-reusepark.jp/


③アップサイクル・アクション

ファッションメーカーとしての技術を活かし、回収した衣料品に新たなクリエーションの価値を吹き込む。

詳細はこちら>>>https://crosset.onward.co.jp/items?mgc=PIC&mc=PIC_08286&gc=5&du=2


④リサイクル毛布と軍手の寄贈

回収した衣料品を毛布や軍手へと再生。毛布は日本赤十字社の協力の下国内外の被災地や開発途上国の支援、軍手は森林保全活動などで配布している。

詳細はこちら>>>https://www.onward.co.jp/green_campaign/plan/index.html


⑤「虹の森」森林保全活動

高知県とアパレル業界初の協定を結び、「土佐山 オンワード “虹の森”」にて、社員も参加しながら間伐などの森林保全活動を継続。

⑥プラスチック資源の循環

製品移送時のハンガーカバー(ビニール)を回収し、再び資源として再生・活用するプラットフォーム。物流の過程で生まれるプラスチック資材の循環にも取り組んでいる。

⑦リユースハンガー・リユース折り畳みコンテナの導入

縫製工場から店頭まで一貫してリユースハンガーを使用し、回収・洗浄して循環させるシステムを1977年から展開。2001年からは、使い捨ての段ボール箱に代わり、繰り返し使える折り畳みコンテナを本格導入。

⑧CO2排出量削減への取り組み

これまで仕入先や工場ごとに個別に行っていた海外からの物流業務を、アジア4拠点の倉庫へ集約し、一括して効率的に輸入する仕組みを構築。無駄な輸送を削ぎ落とし、省エネルギー化を徹底することで、サプライチェーン全体のCO2排出量を削減。

⑨ショッピングバッグの紙製化

プラスチック排出量の削減に向け、店頭のショッピングバッグをプラスチック製から紙製へと順次切り替え。代替が難しい一部のバッグにも環境配慮型素材を採用するなど、地球環境への負担軽減を図っている。

──メーカー自らがリユース専門の直営店を運営することも、海外での物流を一括集約することも、アパレル業界では前例のない挑戦ばかりだと思います。これまでの活動の中で、特に大変だったことや、深く心に残っていることはありますか?

山本:強いて言うなら、回収した衣料品から作った「リサイクル毛布」を、自分たちの手で直接届けに行く事は心に残りますね。目的地にたどり着くまでの移動だけで、片道30時間以上を要したこともあります。それでも現地に行って手渡しで届けるのは、支援の実感や責任を自分たち自身がしっかりと持ち続けたいからです。現地の方々の生活や課題を直接見ることが、活動の改善や新たなヒントにもつながっています。こうした経験こそが、取り組みを一過性で終わらせず、長期的に続けていく原動力になっています。

リサイクル毛布を現地に届ける山本
年間100万着でも、まだほんの一部。
「あなたの1着」が未来を変える。


──9つのアプローチを実践されていますが、現時点ではどのような課題を感じていらっしゃいますか?

山本:『グリーンキャンペーン』によって回収される衣料品は年間約100万点にのぼります。一見すると大きな数字に思えるかもしれませんが、私たちが世の中に送り出している服の総量から考えると、これはまだほんの一部に過ぎません。回収できている服よりも、回収されずに終わっている服の方が圧倒的に多く、このギャップこそが今の課題そのものです。そうした現状を考えると、自分たちの伝え方や、参加していただく導線の作り方が、まだ十分ではないのだと強く感じています。



──回収の仕組みだけでは超えられない壁がまだある、と。

山本:はい。これは業界全体が抱える構造的な課題でもあります。「不要になったら捨てる」というこれまでの常識を変えることは、決して簡単なことではありません。だからこそ、ただ回収の仕組みを用意するだけでなく、その意味や価値を、もっとリアルに、共感していただけるように伝えていかなければならないと考えています。環境問題は待ってくれませんし、「いずれ変わるだろう」という姿勢では間に合わないフェーズに入っていると思っています。だからこそ、私たちは2030年度までに年間200万点の回収を目指したい。一着でも多く循環に戻すこと、そしてこの取り組みに賛同し、参加していただける方を一人でも増やしていきたいです。


オンワードではアップサイクル・アクションとして、回収した衣料品に新たな命を吹き込んでいる

クローゼットの中に眠っている、いつかのお気に入りの一着を、「捨てる」のではなく、次の循環へ。「つなぐ」という選択が、この先の未来を変える一歩になります。近くの店頭やオンラインの回収サービスに、ぜひお持ちください。
  • 入力履歴
    検索履歴
  • 入力履歴
    検索履歴
  • 入力履歴
    検索履歴