循環と再生。 裂き編みで新たな息吹を吹き込んだイルチオットロ

手仕事のあたたかさと、素材の重なりが生み出す豊かな表情と。
その独特な風合いが魅力のイルチオットロは、日本の伝統的な編み方である「裂き編み」でつくられています。

裂き編みとは、布をひも状に裂き、編み上げていく編み方で、その起源は江戸時代に遡るとも。諸説ありますが、当時布が手に入りにくかったことから、すでに使い古された布を裂いて再利用していたことが始まりと言われています。

裂かれたままの布を使うことで、きれいに整えられた編糸では表現できない、偶発の「美」が生まれるのが魅力です。



2008 年発売の「リネンジャガード」

今回使ったのは、2008 年発売のバッグ「リネンジャガード」に使用して以来、大切に保管してきたgentenオリジナルのジャガード生地。そこに、濃茶の再生ポリエステルの生地を加えて編み上げ、軽やかに仕上げました。

織りや編みで模様をつけていくジャガード生地は、プリント生地にはない立体感や高級感が魅力です。それを裂き編みにすることで、元々の模様は分かれ、それが異なる素材と紡がれて。単調な生地では出せない豊かな表情が生まれます。

古いものの良さを残しながら、新しいものをかけ合わせ新たな価値を生み出していく。そんな姿勢は、革の産地であるイタリアフィレンツェの人々の暮らしを思い起こさせます。





修復を繰り返しながら歴史を刻んできた石畳や、石造りの家々。資源を大切にする街の情景からインスピレーションを受けて、そして日本の伝統を掛け合わせ、イルチオットロは生まれました。



イルチオットロ 39,600円（税込）

裂き編みの素材と同じリネンジャガードの生地でおつくりしたかぶせもポイントです。バッグの中の物が見えてしまったり、防犯面で心配したりすることなく、安心してお使いいただけます。



内側には、スマートフォンが横向きでちょうど収まるサイズのポケットをお付けしました。バッグの中で他のものに紛れてしまいがちな小物や、頻繁に出し入れするスマートフォンの収納にお使いください。




左が空の状態。右が荷物を入れた状態。


横長の愛らしいフォルムは、物の出し入れがしやすく、かごのようにざっくりと使っていただけます。バッグの高さがそこまでないため、心もとなく思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そこはひと工夫。

イルチオットロは、通常バッグの底に入れる芯材をあえて使用せず、素材の選定と編みの強度によって、バッグに入れた物の重みで自然なシルエットを描くようにお作りしています。持ち物の重みで変わるシルエットをお楽しみください。




アクセントとなる牛革のチャームも実はアップサイクル素材。2022年発売のバッグで使われた、鎌倉長谷寺の紅葉で染めた革を使用しています。gentenが大切に保管していた革を、小さなパーツにすることで余すことなく活用しました。

イルチオットロは、メランジ調の複雑な表情で汚れが目立たないのも嬉しいポイントです。使い始める前に防水スプレーをかけていただくと、より耐久性を高められます。使っていくうちに、糸の結び目が出てくることがありますが、そのときは指で押し込んでいただければ変わらずお使いいただけます。

リネン素材ならではの清涼感と、編み物ならではの透け感が相まって、これからの季節に軽快に持っていただけるイルチオットロ。
一方で、落ち着きのある統一された色合いは秋冬の時期にも活躍します。ウールのストールなどを被せてみると、また違った雰囲気に。

自然への感謝と、モノを作る責任と。

素材の持つ可能性を存分に生かし、新たな価値を見出して循環させる。

gentenの目指すモノづくりを体現したバッグを、お手元に。


■イルチオットロのお手入れについて■

本体には、使い始めに防水スプレーのご使用をおすすめします。使っていくうちに、結び目が表に出てくることがありますので、その際は裏に押し込んでください。裂き編みの特性上、どうしても糸くずが発生しますので、ご了承ください。

チャームの革は、ベジタブルタンニンで鞣した栃木レザーで、豊かな経年変化が楽しめます。革部分のお手入れは、やわらかな綿の布で拭くだけで十分です。革の特性上、防水スプレーとクリーム類の使用はシミになる場合がありますのでご注意ください。

イルチオットロは70本限定での販売となります。
店舗、オンラインショップともに販売中です。