すべての製品を国内生産にこだわるTRICOTÉ。
デザイナーのアイデアを綿密に形にしていく職人の手仕事が、
ブランドのものづくりを支えています。
今回、私たちは半世紀以上続くニット工場を訪れ、
TRICOTÉのカーディガンが生まれる現場を見学してきました。
50年以上稼働している日本の数少ないニット工場のひとつ。
その玄関をくぐると、
長い時間をかけてたくさんのニットを
作り出してきた証が刻み込まれた木造の静かな空間が現れます。
長年働き続ける機械や工具が整然と並ぶ工場のなか。
何度もメンテナンスを受けながら、
50年以上も大切に動かされているものもあり、
今も現役で稼働するその空間に、ものづくりの歴史と誇りを感じます。
きちんと整理された現場こそ、
職人たちの技術力と丁寧なものづくりに対する
プロ意識の高さを物語っているのです。
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職人たちはここで毎日1〜2人で機械を動かし、
早朝から夜遅くまで作業することも少なくありません。
そうして精励する職人と彼らによって大事にされ続けた機械によって、
TRICOTÉのプロダクトは創り出されています。
26SSTRICOTÉのカーディガンは、大きな12ゲージの横編み機を使用しています。
絡まりやすい細い糸を同時に動かし、
丁寧に編み上げていくのは機械を操る職人たちの技の見せどころ。
何本もの糸(コーン)を網機の上に設置し、
柄や配色が変わるたびにその配列や本数を変えながら、
四角い生地をいくつもつなげて編んでいきます。
前身頃・後身頃・袖・衿と一つひとつ編まれた
いくつものパーツを縫製して形にしていく工程は、
時間と技術が積み重なった職人の仕事そのものです。
この工場では洋服以外にも、
バッグやブランケット、クッションカバー、ソックスなど、
さまざまなTRICOTÉのアイテムが作られています。
多彩な糸と編み地にあふれた空間は、
まるで「ニットの宝庫」。
そこにある一枚一枚の生地が、
職人の手によって新しい形へと生まれ変わっていきます。
しかし、そんな素晴らしいモノづくりの現場にも
いくつもの課題が存在するのも事実です。
近年特に問題視されているのは、
ニットを作る過程ではどうしても余ってしまう素材、「残糸(ざんし)」。
私たちは、この課題をデザインと製造の両面から向き合うべきと考え、
2024年より、工場とともに「ものを無駄にしない」ものづくりをスタートさせました。
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糸を選び、編み、形を生み出していく過程の中で、
どうしても生まれてしまう残糸(ざんし)。
その残りものに「もう一度命を吹き込む」、
それが私たちがこの課題に向き合った答えでした。
今回取材したカーディガン「TR54TP001」も、
生産過程で余ってしまった糸から生まれた製品です。
華やかな配色ラインと手編みのようなざっくりとした組織が
カジュアルスタイルに快活な女性らしさを添えるデザイン。
鎖骨が見える開襟が顔周りをすっきりさせ、
1枚だと美しく、Tシャツやタンクトップに羽織るとナチュラルに、
様々なスタイリングの主役になる一着です。
工場に「余った」糸を使用するため、
その時々で配色が変わるのが、このアイテムの最大の魅力。
今しか作れない、『ご縁』があったからこそ出逢えた色合い、
『円』を描くように循環するものづくりを目指して。
私たちはTRICOTÉ-en- というアップサイクルシリーズをスタートさせ、
カーディガンの他にも、ポーチやソックスなど様々なアイテムを発売しています。
ものづくりは、デザインだけでなく「責任」も伴うものだと私たちは考えています。
デザイナーや職人の作り手の視点から、
環境への負担を少しでも減らすこと、
限られた素材を最後まで使いきることを考える。
――そうした姿勢が、未来のファッションを明るくし、
長い時間を歩んできたこの工場を
これからの時代を切り拓く場所へと変化させると信じています。
糸に込められた想いを、これからもていねいに編み続けていきたい――それがTRICOTÉの願いです。