このコラム**「muuc零れ話」**では、ブランドの裏側やものづくりへの想いをお伝えしていきます。
初めての方にも、私たちの活動や価値観を知っていただける機会になれば嬉しいです。
今回は、**「muucとはどのようなブランドなのか」**について、お話ししたいと思います。
■ muucの生い立ちとブランドコンセプト
私たちはもともと、「everlasting sprout」 というブランド名で活動していました。
2004年から服づくりを続け、ブランドのコンセプト自体が大きく変わることはありませんでしたが、デザイナーである私自身が年齢を重ねるにつれて、表現の仕方や服づくりへの考え方が少しずつ変化していきました。
そして、ブランド創設15周年を迎えたとき、この活動が私の人生と共にあるものだと強く感じ、「自身の名前をブランド名に込めよう」と考えました。
そこで、「MU」RAMATSU「U」 KEII「C」HI という名前の一部を取り、「muuc(ムーク)」 という新たなブランド名を生み出しました。
ブランド名を変えるのと同時に、改めてブランドのコンセプトや服づくりの姿勢を見つめ直しました。

■ muucが目指す服づくり
「服をキャンバスに見立てて、糸で絵を描くように。」
私は、テキスタイルデザインから洋服を表現するデザイナーです。
布をただの素材として扱うのではなく、そこに「糸を編む・刺繍を施す・織る」といった技術を加え、まるで絵を描くようにデザインすることを大切にしています。
たとえば、生地と刺繍、糸と編み方。
組み合わせによって生まれる可能性は無限大です。
テキスタイルが持つ豊かな表現力を活かしながら、洋服を作り続けていくこと—それがmuucのものづくりの根幹です。
■ muucの服が目指すもの
私たちの服は、体型やシチュエーションを限定しない寛容なデザインでありながら、
「上品さ」を感じられる服であることを大切にしています。
着る人の個性やライフスタイルを締めつけることなく、
それでも「ちょっぴり背筋が伸びるような」服。
カジュアルなシーンでも、フォーマルな場面でも、時代や年齢を問わず長く着られ、
いつか大切な人へ受け継がれるような服になってほしいと願っています。

■ muucのテキスタイルデザイン
私たちのテキスタイルデザインの象徴ともいえるのが刺繍を施した洋服たちです。
この2025年春夏コレクションでは、新しい挑戦として、1枚1枚手作業でカットして縫い付けるという、たいへん手間暇のかかったオリジナルの花モチーフをあしらった表現を
プロダクトに落とし込みました。技法自体は、昔からある技法ですが、それを自分らしい表現に落とし込み、さらに製品として販売できるようになるまでに数年かかりました。
立体的にかさなる花びらと、糸、布による表現を楽しんでいただければ幸いです。

これから少しずつ、この技法をつかった商品が入荷するので、どうぞお楽しみにお待ちください。
このコラムを最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
私たちのお洋服や想いを知っていただく機会になればうれしいです。
muuc
村松啓市