こんにちは。「muuc」の村松です。
いつもご覧いただきありがとうございます。
muucにまつわる裏話などをご紹介する「muuc零れ話」。
今回は、私たちmuucがとても大切にしている「ボタニカル刺繍生地」についてです。


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私は、農家の祖父母に育てられ幼少期を過ごしていました。
家の裏の畑や、田舎の古民家の広い庭が遊び場でした。
庭といっても、田舎の古い家の庭ですから、普通の方が思うような庭ではないかもしれません。
子供の頃の私にとっては、探検が毎日できるぐらい広い庭です。
静岡に生えているような植物は雑多に生えていて、池や小山もあるような。里山にいる生物(植物、昆虫)が一通りいるようなそんな庭でした。
そこは子ども時代の多感な私にとって、大きな宝箱のような空間だったのだと思います。そこで、一人で黙々と遊んでいました。
そして私は、本を読むのがとっても大好きでした。
絵本から小説、写真集・・・と、なんでも読みました。
そして、特に好きだったのが、子ども百科事典や図鑑です。
そこでは虫や植物はもちろん、鉱石や恐竜などについて、写真・図解つきで解説されていて、何度も何度も読み返していました。子ども心にリアルな写真や描写はちょっと気持ちわるく感じるものも多かったのですが、何ども読み返している内に愛着が湧いてくるから不思議なものです。
前身ブランドである「everlasting sprout」時代から続く、muucの「ボタニカル刺繍」は、そんな子ども時代に夢中になった図鑑そのものがモチーフになっています。
そのため、あまり洋服の生地では見られないような、
たとえば、写実的・絵画的であったり、多くの種類が標本のように並んでいたり、植物の根まで描かれていたり・・・といった、固有の表現がなされています。
田舎で、畑道や庭に映えている植物を毎日愛でていた自分にとっては、リアルな描写の花をつかって服にしたいと思ったのです。

この生地は、生産は、everlasting sprout時代からずっと同じ職人さんにお願いしています。
旧式の、しかも長いキャリアでいろいろ手が入った特殊な刺繍機でつくられており、このボタニカル柄の図案は繊細な作業をしているため、1日に『7m』しかつくることができません。(一般的な大量生産刺繍機の数分の1~数十分の1ほど)
特殊な生地すぎるため、職人さんが体調をくずされたときは、生産がストップしてしまい、ご予約くださった方にご迷惑をおかけしたこともありました。他では作ることができない貴重な刺繍テキスタイルです。
この刺繍は、スタッフ間では「植物図鑑」ともよんでいます。
古い植物標本のように。私が夢中になった植物図鑑のように。
一針一針大切におつくりしています。
muucでは、時代を問わず、ずっと愛していただけるようなデザインをコンセプトに活動しています。このボタニカル刺繍生地が、そういったプロダクトになっていけば嬉しいです。

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