エディターであり、スタイリストである大草直子さん責任編集の特別連載。大草さんの頭の中にある、ATONを選び、ATONをまとう女性像を、撮り下ろしの写真と書き下ろしのショートストーリーに投影してお届けします。2回目となる今回の舞台はパリ。
Directed byNaoko Okusa
ITEM01
このコートがあるから、
冬が、寒さが楽しみになる
私のファーストATONはベビーキャメルのコート。
染色せずに使う、この素材――
ディレクターが探して歩いて見つけたのが、
内モンゴル地区に生息するフタコブラクダ。
中でも繊維が傷んでいない
ベイビーキャメルの毛を集めて使用。
夏は45℃、冬は-40℃になる、その過酷な自然が育てた
ラクダの毛は、
内部に暖かな空気をホールドしてくれると言う。
さらに放湿力に優れ、
真冬の気温差がストレスにならないのも
毎日手に取ってしまう理由の1つ。
デザインは、今の時代に合った動きやすさ、
そして素材に敬意を表する品格、
その両方を叶えるため、
ヨーロッパの貴族が狩猟の時に着ていた、
ローデンコートをベースに。
ゆったりした袖付け、大きなバックプリーツ。
なるほど、可動域が広く翻る裾も美しい。
何から何まで
「こだわり、という知性が詰まった」コート。
COLOR | WHITE CAMEL / CAMEL / BLACK
SIZE | 00 / 02 / 04 / 06
PRICE | ¥140,000+tax
ITEM02
カシミヤの「女性性」は
どこまでも優しく柔らかい
もし、素材に性別があるとしたら、
ATONのファーカシミヤは絶対に女性だと思う。個人的に。
湿度をたたえ、スムースで溶けるほどに柔らかい。
中でも、このクルーネックのニット、
繊細で細いカシミヤの糸を、
ホールガーメントで仕上げた1枚。
1本の糸から、無縫製で完成するニットは、
ゆっくりと編み立てられるため、
糸にストレスがかからず、
だからこそ着手(きて)にとってもどこまでも優しい。
さらにこのふわふわ感。
出来上がったニットを、富山県の豪雪地帯の
雪解け水に、泳がせて染色する。
1人1人の職人の手で染められたニットが、
その後丁寧にブラッシングされ、
やっとこの「毛並み」が完成する。
「手をかけた」1枚の服には、
気の遠くなるほどの愛と時間と労力が積み重なっている。
FUR CASHMERE | CREWNECK SWEATER
COLOR | PINK / BROWN / LIGHT GREEN / LIGHT BLUE / BLACK
SIZE | 02 / 04 / 06
PRICE | ¥33,000+tax
ITEM03
ラフでありラグジュアリー。
新しい日常のフーディ
大人が着る、少年のようなフーディ。
そのギャップの美しさは何にも勝る、と思っている。
少し甘くなった目元、影が目立つきゃしゃな首筋。
こうした「大人のチャーム」を、
ふっくらと立体的なフードが縁取り、
パートナーとシェアできる大きなシルエットは、
身体を泳がせて、少しセクシーにすら見せてくれる。
インドのスビンコットンを和歌山市のニッターで、
高密度に編み上げているから、
全体の輪郭を際立ち、
立体感を担保してくれるのだ。
そして洗っても「やせず」「へたらず」、
第一印象がそのまま長く続く、
というのも「大人のカジュアル」には必須。
COLOR | WHITE CAMEL / KHAKI / BLUE GRAY
SIZE | 02 / 04 / 06
PRICE | ¥34,000+tax