「ショートジャケットにしたのは、私自身ジャケットをたくさん着てきた中で、ショート丈はボトムスを選ばず、コーディネートしやすいと感じていたから。着こなしのスパイスになるメタルボタンは、イギリスのヴィンテージボタンをもとにオリジナルで作りました。パンツはシンプルなトップスを新鮮に見せる1本にしたいと思い、裾にボリュームをもたせたハイウエストのサイドラインパンツに。コートはこのセットアップの上に羽織れるものにしたくて、アウトドアの要素を取り入れつつ上質なウール素材で仕上げたパテッドのフーデッドコートを提案しました。ジャケットの上にはもちろん、フェミニンなワンピースなど、あらゆるスタイリングに合う1着です。口元を完全に覆うフードもダイナミックな印象で、顔周りが華麗に見えます」

「大胆な赤のセットアップに躊躇される方もいらっしゃるかもしれませんが、赤はもともと母の好きな色で、私にとっては小さな頃から慣れ親しんでいるベーシックカラー。今回のように白と合わせると軽やかな印象になりますし、さまざまな人をスタイリングしてきた中で意外と似合う人が多いと感じる色です。ジャケットは前回同様チェンジボタンで、共布のボタンとの付け替えができます。キャミソールのこだわりは、まずカッティング。前よりも後ろのV開きを深くすることで、身体のラインが美しく見せるデザインに。短丈のボックスシルエットで、インでもアウトでも美しく見える形にしました」

「ベーシックなアイテムながら実はコーディネートするのが難しいカーディガン。せっかく作らせていただけるのなら、腰が隠れる長めの丈感、ゆったりとしたシルエットで、カジュアルにもきれいめにも合わせやすい１枚にしたいと考えました。デザインのバランスを整えるために、ポケットは浅めにしました。タートルネックのニットをレイヤードしているような感覚でまとえるとネックアクセサリーは、首に沿うシルエットとなめらかな質感がこだわり。２色を重ねて着けても素敵だと思います」

「薄手のスパンコールニットが多い中、あえてミドルゲージのメリノウールを使用し、ジャケットのような構築的なフォルムのニットカーディガンに仕上げました。スパンコール部分は布帛素材に刺繍をして、密度を感じられるリッチな見栄えにしたのもこだわりです。前立てを2枚重ねにしたり、後ろの肩線部分にはニットらしい編みのテクニックを入れたり、細部からも立体感が出るように工夫しています。今回の着こなしは、マイケル・ジャクソンの『ビリー・ジーン』からのインスピレーションです（笑）」