現代的な見た目でも作りは職人なセットアップ

ファッション
2024.09.27

現代的な見た目でも作りは職人なセットアップ

UNFILO MENS

新作セットアップに対してのこだわりをエディター一史氏がデザイナー小山氏にインタビュー。

品格のある形と機能トレンド感覚もしっかりとなぜ着心地がいい？高見えする生地選び細身とワイド、2型のパンツポケットも大充実エピローグ

「セットアップ」とは、上下別売りの組み合わせスーツのこと。UNFILOにもこのたび、満を持してセットアップが新登場。開発したディレクターの小山雅人さんに聞いた、「ほかとは違う」美しさと機能の秘密とは？

品格のある形と機能

「どのブランドでも一緒でしょ？」、そう思う人にこそ良さをお伝えしたいのがこのUNFILOのセットアップ。他社のスポーティなジャケットが工業的な「直線」なら、UNFILOには手仕事を思わせる「丸み」があります。世界最高峰とされるイタリアの手縫いジャケットも身体に沿う丸みを追求していますが、UNFILOもその空気をまとっているのです。ウォッシャブルでイージーケアの服とは思えないカッコよさ。「さすがメンズ業界で尊敬を集めるファッションデザイナー小山雅人さんの仕事！」ということで、小山氏のアトリエを訪ね話を伺いました（※顔出しNGの特別出演）。

まずはこのスーツの概要から。
「絶妙にリラックスしたフォルムが大きな特徴です。ゆとりを計算して、堅苦しくないラフな着方もできるようにしました。UNFILOには『動く。すべての人に、機能美を。』というパーパスがあります。このセットアップスーツも素材に伸びがあり家庭で洗える機能的な服。ただしパターン（服の設計図）は高級なスーツに準じたもの。ビジネスシーンに合う品格がありつつ、インナーにTシャツやニットポロを着るようなカジュアルシーンにもよく合います」

どんなときに着る？

スーツやジャケットは、いつ着るのか迷いがちな服です。服装自由の会社も増えてきたなかで、どのようなシチュエーションが合うのでしょうか。

「例えば大切な会議の場、プレゼンの場ってありますよね。そんなときこそジャケットだけでも羽織っていただきたいです。年配の上司にもきちんとした印象を与えられますし、仕事への熱い思いも伝えられるでしょう。ふだんより一歩上をいく感覚で着るのがちょうどいい服です。よりフォーマルな印象にしたいときは上下を揃えてスーツで着たり。カジュアルな日常着にも合いますから、デイリーな服装をキレイめにしたいときにも役立ちます」
日常をちょっと格上げするのに一着持っていると便利なのですね。

トレンド感覚もしっかりと

UNFILOのジャケットは、裾広がりのゆったりデニム＋2000年代復刻のスニーカーのような現在流行しているカジュアルにもハマります。ベーシックでありつつ時代感を意識したバランスは、自身のメンズブランドを運営する小山さんならではでしょう。

「スーツってお出かけ着になりがちですよね。いかに着崩せるかがセットアップスーツには大切だと思っています。ただし決してダボッとはさせていません。近頃の都市部ではゆったりスタイルが一段落して、キレイめにシャープに装う機運が広がってきました。『ドレスアップしたい気分』とでも言いましょうか。その着こなしに合うジャケットは適度にすっきりとしているべきです」
より身体にフィットさせたい人は小さめサイズを選び、逆にルーズが好きな人は大きめを選ぶなど、サイズ選びでも着こなしを変えられそうです。

なぜ着心地がいい？

今回のセットアップスーツは、ジャケット1型とパンツ2型の単品販売。色は黒とグレーの2色展開で、それぞれ異なる生地です。どちらも着ると肌に優しくまろやかなのは、　どうやら伸び縮みする素材の効果だけではなさそうです。

「両色ともに化繊100％のストレッチ生地です。さらに伸びる素材に頼っていないパターンの工夫がUNFILOのオリジナリティです。ジャケットもパンツも、歴史あるアパレルメーカーのオンワード樫山のノウハウが息づくパターンに基づいています。伸びる素材はより快適にするための補完のようなもの。着ていただければ身体に沿う立体感を感じていただけると思います」

高見えする生地選び

化繊生地でもチープに見えないのは、生地選びにもコツがありそうです。

「両色とも同じ素材ですが、マットな風合いで“とろみ”のある生地を選びました。黒はフォーマルにもスポーティにもなる汎用性の高い見た目。グレーは天然素材に近く“ウール見え”することが特徴です。メランジ調の奥行きのある風合いは個人的にも気に入っています」
やはりベテランデザイナーらしく生地を厳選しているのですね！

細身とワイド、2型のパンツ

UNFILOのセットアップは、パンツを2型から選べます。細身でビジネス対応のテーパードと、ウエストを紐でぎゅっと絞るイージーなワイド。両方を手に入れて穿き替えるのもありです。2型ともウエスト位置にタック入り。脚をまっすぐ長く見せて、太め体型のお腹をすっきり見せる視覚効果も。

「ビジネスシーンでノータックパンツが人気だった時代もありましたが、現在はゆとりのあるタック入りがお洒落です。ウエストが太い大人がノータックパンツを穿くと、お腹がパンパンになりがち。窮屈であまり見栄えがよくありません。タックがあれば着心地も見た目にも“大人の余裕”が出ます」

ポケットも大充実

生活シーンで役立つポケットの充実ぶりも見逃せません。国内外の出張が多い小山さんならではの配慮が込められています。

「パンツの右サイドポケットの横に、もうひとつファスナーポケットを取り付けました。ジャケットの内側にも同様のファスナーポケットがあります。斜めにモノを入れてファスナーで閉じられる仕様です。この工夫によりジャケットを脱いで手に持ったり雑に扱っても、ポケットからモノが落ちる心配がなくなりました。UNFILOは着る人の“動き”に配慮したブランドです。スーツにもその考えを踏襲しています」
見た目はドレッシーでも機能はアクティブウェア。便利だからこそつい着たくなるのです。

エピローグ

UNFILOのメンズを支える小山氏による新作解説はいかがだったでしょうか。ベテランならではの深い服づくりがおわかりいただけたでしょう。夏のラフな服装をこの秋はガラリと変えて、セットアップで誰にでも好かれる“きちんと感”にシフトしてみませんか？

profile

小山雅人（コヤママサト）

IDEAS ディレクター / デザイナー。大手セレクトショップで長年企画に携わり、2018年にデザイン会社IDEASを始動。様々な思想あるデザイン活動を行う傍ら、自身のメンズブランド「ユーゲン」を2019年にスタート。服の基本を踏まえつつビンテージもモードも取り込んだ現代的な服づくりで、一躍メンズ業界から尊敬される存在に。2021年に立ち上がった「動くすべての人に機能美を。」を目的として運営するブランド「アンフィーロ」のメンズ部門全体の監修を行う。

写真・文：一史（カズシ）

ファッションライター／フォトグラファー。明治大学卒業後に文化服装学院でファッションを学ぶ。文化出版局に勤め、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。独立してからはフリーランスでメディアや広告に携わる。10年以上続くファッション連載は、雑誌Penのウェブサイト「Pen Online」内の「着る／知る」。

UNFILO MENS　オンワード・クローゼット

UNFILO MENS公式インスタグラム

2024.09.27

現代的な見た目でも作りは職人なセットアップ

SHARE